クラウドでCADを使うメリットとクラウドで使えるCADソフト3選

 仕事やプライベートでインターネットを使う際に、「クラウド上にデータを保存する」という経験がある方は少なくないのではないでしょうか。我が家を例に挙げると、子どもの日々の写真をクラウド上に保存し、離れて住むおじいちゃんおばあちゃんと写真を共有するアプリを活用しています。今回はCADにおけるクラウド化のメリットクラウドで使えるCADソフトについてご紹介したいと思います。

メリットその1:どこでもデータを確認・編集できる

 たとえば、建築現場を実際に見に行く場面において、以前であれば職場のデスクパソコンで作成した図面データは紙で印刷して持ち歩くしかありませんでした。しかし、クラウド上にデータが保存されていれば、現場でノートパソコンやタブレットなどのモバイル端末から図面データに直接アクセスすることができます。データの確認はもちろん、打ち合わせ内容を基に図面の修正を行うことも可能なので、紙の図面にメモした内容を職場に戻ってから修正する、といった二度手間がなくなります。クラウド上にデータを保存することで、パソコンに何かしらのトラブルが発生した際にデータを消失してしまうリスクも減らすことができるでしょう。

メリットその2:データ共有が容易

 クラウド上のデータに直接アクセスできると、データを共有することが容易になります。複数のプロジェクトメンバー間で並行して作業を行った場合もリアルタイムにデータが更新されますので、不要な修正が発生することもありません。

メリットその3:利用端末のスペックを問わない

 従来のCADソフトは、パソコンにインストールして利用するのが一般的だったため、高い性能をもったパソコンでないと動作が遅くなったり画面が固まってしまうといった事態が発生していました。しかし、クラウドベースのCADソフトであれば利用端末のスペックに頼ることなく、インターネット上で処理を行うことができます。高性能・高価格のパソコンでなくても、ノートパソコンやモバイル端末を利用したCADの活用が可能になりました。

メリットその4:最新版への更新が楽

 多くのCADソフトは毎年バージョンアップします。固有のパソコンにインストールした場合、修正ファイルや最新バージョンがリリースされるタイミングで、手動でインストールする作業が必要になります。

 対して、クラウドの場合は自動でアップデートが行われるため、常に最新版のソフトウェアが利用できます。アップデートはメーカーのタイミングで更新されるため、ソフトの性能を発揮させるには、クラウドの形で利用するのがベストだといえます。

クラウドで使えるCADソフト

AutoCAD

 日本で最も高いシェアを誇る汎用CADであるAutoCADもクラウドで使うことができます。AutoCAD、AutoCAD LTをサブスクリプション購入するとモバイルアプリがセットになっていますので、別途購入する必要なく、モバイル端末からAutoCADをそのまま使うことができます。2D図面の確認と簡単な修正、3D図面の確認が可能です。なお、モバイルアプリには無償版もありますが、作図編集ができない(図面の表示のみ)、使える容量がやや少ないといった違いがあります。

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Fusion360

 AutoCADと同じAUTODESK社が提供している3D CADです。設計、シミュレーション、CAMといった製品の開発に必要な過程すべてをクラウド上で行うことができます。データの共有範囲は自由に設定可能で、iOSやAndroidのモバイル端末からもアクセス可能です。

DRA-CAD

 国産の建築用CADとして歴史のあるDRA-CAD、最新バージョンでは新機能としてクラウド上へのデータ保存が可能になりました。iPhoneやiPadでビューアーアプリを使えばDRA-CADのデータが外出先からでも確認可能(Androidは非対応)、また図面にQRコードを貼り付け、それを読み取ることで関連サイトやメーカーサイトへのリンクが容易に行えるようになりました。

 モバイル端末から図面データを見られるとはいっても、詳細な図面をタップ操作で作図することはなかなか難しい面もあるかもしれません。これまで通りパソコンでの作業と、外出先での利用、場面に合わせてうまく使い分ける必要はありますが、これまで以上に効率的な作業の手助けとなるのは間違いないでしょう。