初心者が解説!DTPって何?どんな仕事?
「CAD初心者が初心者向けに解説!CADって何?」に引き続きの“初心者解説”第2弾!今回は「DTP」についてご紹介します。
DTPとは
DTPとは、「Desktop(デスクトップ)publishing(パブリッシング)」の略で、「パソコンを用いて印刷物をデザインし、制作すること」を意味します。印刷物とは、チラシや冊子、書籍や新聞など多岐にわたります。
以前は、印刷物を作成にあたって、企画やデザイン、版下(「はんした」、印刷の元となる原稿のこと)の作成や製版、印刷などの各工程が専門家によって別々に行われていました。これがDTPの登場により、デザインから版下の作成・製版まで一連の流れがパソコン上で完結することができ、制作時間の大幅な短縮につながりました。
DTPと聞くと、具体的なソフトをイメージする方も多いかもしれません。代表的なソフトをいくつかご紹介します。
・Adobe InDesign(アドビインデザイン)
Adobe社が販売している代表的なDTPソフトウェアです。後ほどご紹介するIllustratorやPhotoshopも同じAdobe社製なので互換性も高く、特にIllustratorとは操作も似た部分が多いですが、InDesignはページレイアウトに特化したソフトですので、ページをまたいでテキストが流れるようなドキュメントや、目次や索引など、ページを管理・制作する上で欠かせない機能が数多く搭載されています。元々は紙の制作物が対象とされていましたが、最近のデジタル端末の普及によって音声や動画などを含んだデジタルコンテンツの作成も可能となっています。
・QuarkXPress(クォークエクスプレス)
アメリカのQuark社が販売しているDTPソフトウェアです。以前は「DTPといえばQuark」というほど高いシェアを誇っていましたが、2001年にMacの新OS(Mac OS X)が発表された後の対応の遅れからInDesignに多くのシェアを奪われてしまいましたが、まだまだ根強い支持があります。
・Adobe Illustrator(アドビイラストレーター)
名前にもある通り、イラストや作図に特化したソフトウェアです。線や色のはっきりとしたイラストの作成、さらにテキストの編集やレイアウトも可能で、あとから拡大や変更を加えても鮮明な画質を保てるのが特徴です。チラシや小冊子を制作する際のスタンダードなソフトとなります。
・Adobe Photoshop(アドビフォトショップ)
こちらも名前の通り、主に写真を補正・加工するための画像処理ツールで、微妙な色味や質感を調整することを得意としています。Photoshopで加工した画像を、Illustratorでレイアウトする、というのがポピュラーな使い方です。
IllustratorとPhotoshopについては、「DTPトレーナーがわかりやすくご紹介!IllustratorとPhotoshopってどんなソフト?」でも詳しくご紹介していますので、合わせてご覧ください!
DTPの仕事とは?
DTPの仕事は、ご紹介したこれらのソフトを使って印刷物を作成することを指し、「DTPデザイナー」「DTPオペレーター」と呼ばれます。「DTPデザイナー」はクライアントからの要望に応えたデザインを作り、「DTPオペレーター」はソフトを使ってデザイナーの原案・指示に基づいて制作をします。両方を兼ね備えた「DTPデザイナー兼オペレーター」というポジションで仕事をしている方も多く見られます。
求められるスキル・資格は?
DTPデザイナー、オペレーターの仕事に就くにはDTPソフトの操作に習熟していることは当然ですが、それ以外にも、DTPのデザインにおいて知っておかなくてはいけない、文字サイズや線幅、フォント、禁則処理などのルール・基礎知識といった業界のルールを習得しておく必要があります。
そして、やはりデザインに関わる仕事ですので、デザイン力も必要です。レイアウトや色の組み合わせなどデザインの勉強も必要でしょう。デザインを勉強する場としては、デザイン系の専門学校やDTPデザインコースのあるスクールに通う方法があります。そして、最初はアシスタントとして印刷会社や広告代理店に就職、仕事をしながら経験を重ねていく、というのが主流です。
DTPデザイナー、オペレーターになるための必須の資格はありませんが、「DTPエキスパート」や「色彩検定」などはスキルを証明する手段として、就職・転職の際に役立つかもしれません。
・DTPエキスパート
公益財団法人日本印刷技術協会が主催している資格試験で、メディアビジネス全般を想定した必須知識とその活用力を問う試験が出題されます。「DTPエキスパート」と「DTPエキスパート・マイスター」の2つの資格があり、後者は課題制作の実技試験も実施されます。試験は年2回(3月・8月)ですが、試験合格後、DTPエキスパートやエキスパート・マイスターとして認定されるのは2年間で、継続には更新試験を受験し、条件を満たす必要があります。
・色彩検定
1990年の開始より累計150万人以上が受験している文部科学省後援の公的資格です。初めて色を学ぶ方向けの3級、実務に応用したい方向けの2級、プロフェッショナル向けの1級に加えて、2018年よりUC(色のユニバーサルデザイン)級が新設されました。試験は夏(6月)と冬(11月)の実施となりますが、1級は冬(1次試験が11月、2次試験が12月)のみの実施です。
DTPの知識としてだけでなく、日常生活にも役立つ内容ですので、興味のある方は一度公式サイトをご覧になってはいかがでしょうか。
今回ご紹介したDTPとCADは深い関係性があり、設計の現場でも Illustrator やPhotoshopのスキルは重宝されます。具体的にどのようなシーンで活躍するかはまた改めてご紹介いたします。お楽しみに!